意思決定は「前提」で決まる ー なぜ製造業では改善してもズレ続けるのか

あなたは「何を問題とするか」を言語化できますか?

現場の違和感

製造現場で、こんな場面に出会うことがあります。

「不良が出ている。だから対策を打つ」
「コストが高い。だから削減する」
「DXを進めるために、新しいツールを導入する」

どれも正しい判断に見えます。

しかし実際には、対策を打っても不良は止まらず、
コスト削減をしても利益は思うように伸びず、
DXを進めたはずなのに現場が混乱してしまう。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。

その問題、本当に問題ですか?

原因は「問題」ではない

こうした場面では、多くの場合
「どう解決するか」が議論されています。

つまり、

  • どんな対策を打つか
  • どのツールを使うか
  • どこを改善するか

といった「解き方」の話です。

しかし、ここに一つ見落とされがちな視点があります。

それは、

「そもそも、その問題の捉え方は正しいのか?」 という問いです。

前提とは何か

ここでいう「前提」とは、次のようなものです。

  • 何を問題とみなすのか
  • どこまでを対象とするのか
  • 何をゴールとするのか

言い換えると、

前提とは、意思決定の“土台”です

この土台が曖昧なままでは、
どれだけ正しい対策を打っても、結果はズレていきます。

ズレた意思決定構造

前提が整理されていない場合、意思決定は次のような流れになります。

  • 現象(不良・コスト増)
     ↓
  • 問題として認識
     ↓
  • 対策を実施
     ↓
  • しかし、期待した成果が出ない

一見、論理的に見えますが、
このプロセスには「前提」が存在していません。

そのため、問題の捉え方自体がズレていると、
その後のすべての判断がズレていきます。

なぜ前提はズレるのか

では、なぜ前提はズレてしまうのでしょうか。

製造業の現場では、例えば次のような要因があります。

  • 過去の成功体験に引きずられる
  • 部門ごとに最適化されている
  • KPIが固定化されている

こうした状態では、 「当たり前」と思っている前提そのものが
見直されることはほとんどありません。

前提を整えるとは何か

では、「前提を整える」とは何をすることなのでしょうか。

それは、

  • 問題の捉え方を見直す
  • 対象範囲(境界)を再設定する
  • 目的そのものを問い直す

といったプロセスです。

一言で言えば、

問題を解く前に、“何を問題とするか”を整えること です。

整えられた意思決定構造

前提が整っている場合、意思決定は次のように変わります。

  • 前提の整理
     ↓
  • 問題の再定義
     ↓
  • 対策の設計
     ↓
  • 成果につながる

この違いは小さく見えて、
結果には大きな差を生みます。

具体例(仮想ケース)

例えば、不良率が高い製品があったとします。

一般的には、

「工程に問題があるのではないか?」
と考え、工程改善に着手します。

しかし前提を見直すと、

  • そもそも設計条件が適切だったのか
  • シミュレーションの前提条件が現実と合っているか
  • 品質基準の設定が適切か

といった視点が出てきます。

この場合、不良の原因は「工程」ではなく、
設計や前提条件にあった可能性もあります。

つまり、前提が変わると、
打つべき対策そのものが変わるのです。

意思決定の質は前提で決まる

ここまで見てきたように、

  • 問題の解き方だけを議論しても
  • 前提がズレていれば結果はズレる

という構造があります。

逆に言えば、

前提が整えば、意思決定の質そのものが変わる ということでもあります。

さいごに

製造業における改善やDXは、
技術やツールの問題として語られることが多いですが、

その前に、

「何を問題とするのか」
「何を目指すのか」

といった前提を整理することが、
実は最も重要なプロセスかもしれません。

こうした“前提の整理”は、
一人で行うのが難しい場面も多くあります。

もしご関心があれば、

「何が問題なのかがあいまいだ」と感じているテーマからでも、
一緒に整理していくことが可能です。


この記事を書いた人

村上 亮
中小企業診断士・ITコーディネータ

「問題を解く前に、前提を整える」をテーマに、
製造業・DX・意思決定に関する情報を発信しています。

VXtyleでは、そうした思考の整理を行っています。

VXtyleホームページ

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