問題は単独ではなく、背景や構造の中で起きている
問題解決に取り組むとき、
多くの人はすぐに対策を考え始めます。
「人を増やそう」
「教育を強化しよう」
「ルールを厳しくしよう」
もちろん、
これらの施策が有効な場合もあります。
しかし、
問題の背景を十分に整理しないまま対策を実施すると、
期待した成果につながらないことがあります。
なぜなら、
目の前に見えている問題は、
多くの場合、
より大きな構造の一部だからです。
同じ現象でも、背景が違えば打ち手は変わる
たとえば、
「納期遅延が頻発している」
という問題があったとします。
このとき、
「現場の頑張りが足りない」
と考えれば、
- 残業を増やす
- 管理を強化する
- 注意喚起を行う
といった対策になるでしょう。
一方で、
背景を整理してみると、
- 受注変動が大きい
- 生産計画が頻繁に変更される
- 特定の工程がボトルネックになっている
- 情報共有が遅れている
といった要因が見えてくるかもしれません。
この場合、
必要になるのは現場への負荷増加ではなく、
- 生産計画の見直し
- 業務プロセスの改善
- 情報共有の仕組み化
- ボトルネック工程への投資
かもしれません。
つまり、
背景が変われば、
打ち手も変わるのです。
問題は単独では存在しない
組織で起きる問題の多くは、
複数の要因が絡み合って発生しています。
たとえば、
「社員が育たない」
という問題も、
- 教育制度
- 評価制度
- 上司との関係
- 業務量
- 組織文化
など、
さまざまな要因が影響している可能性があります。
にもかかわらず、
「最近の若手は育たない」
という一言で片づけてしまうと、
本質的な改善にはつながりません。
問題を個人の能力や努力だけに帰属させるのではなく、
「どのような構造の中で、その問題が起きているのか」
という視点で考えることが重要です。
背景を整理するための問い
問題の背景を整理するときは、
次のような問いが役立ちます。
- いつから問題が発生しているのか
- どのような場面で起きているのか
- 誰が関係しているのか
- 問題の前後で何が起きているのか
- 他に影響している要因はないか
- 問題が起きないケースにはどのような特徴があるか
こうした問いを通じて、
問題を立体的に捉えることができます。
問題を整理すること自体が価値になる
問題解決では、
良い答えを出すことが重視されがちです。
しかし実際には、
問題を整理し、
関係者が共通認識を持てる状態をつくることそのものが
大きな価値になることがあります。
背景が整理されることで、
「私たちは何に取り組むべきなのか」
が明確になり、
議論や意思決定も進みやすくなるからです。
さいごに
目の前の問題だけを見ていると、
対症療法に終わってしまうことがあります。
問題の背景や構造を整理することで、
これまでとは異なる打ち手が見えてくるかもしれません。
問題を解決するときは、
「この問題は、どのような背景の中で生まれているのだろうか」
と問いかけてみてはいかがでしょうか。
次回は、
「関係者を巻き込むと問題解決は加速する」
について考えてみたいと思います。
この記事を書いた人
村上 亮
中小企業診断士・ITコーディネータ
「問題を解く前に、前提を整える」をテーマに、
製造業・DX・意思決定に関する情報を発信しています。
VXtyleでは、そうした思考の整理を行っています。
コメントを残す