タグ: 問題設定

  • 良い問題設定が良い解決策を生む

    良い問題設定が良い解決策を生む

    「いろいろ対策を打っているのに成果が出ない」

    現場や組織では、
    このような場面をよく目にします。

    • 新しいシステムを導入した
    • 会議の回数を増やした
    • 研修を実施した
    • 設備投資を行った

    それでも、
    思ったような成果につながらないことがあります。

    その原因の一つが、
    問題設定のズレです。

    解決策を考える前に、「何を解くのか」を考える

    問題が起きると、
    私たちはすぐに解決策を考えたくなります。

    しかし、

    「何を解決すればよいのか」

    が曖昧なままでは、
    どれだけ優れた解決策を実行しても成果は限定的になります。

    たとえば、

    「売上が伸びない」

    という問題があったとします。

    このとき、

    • 営業担当者を増やす
    • 広告費を増やす
    • 営業研修を行う

    といった施策を思いつくかもしれません。

    しかし、
    もし本当の問題が、

    • 顧客ニーズが変化していた
    • 商品そのものの魅力が低下していた
    • ターゲット市場が変わっていた

    ということであれば、
    打ち手は大きく変わります。

    つまり、

    「売上が伸びない」

    は問題そのものではなく、
    現象に過ぎないのです。

    問題の定義が変わると、解決策も変わる

    製造現場でも同じことが起こります。

    たとえば、
    不良率が高い場合、

    「作業ミスを減らす」

    という問題設定をすると、
    教育や注意喚起が中心になります。

    一方で、

    「なぜ作業ミスが発生しやすい工程になっているのか」

    という問題設定をすると、

    • 工程設計
    • 作業標準
    • 設備仕様
    • レイアウト
    • 自動化

    といった、
    より本質的な改善につながる可能性があります。

    問題設定が変われば、
    見るべき対象も、
    打ち手も変わるのです。

    良い問題設定のために大切なこと

    良い問題設定を行うためには、
    すぐに答えを出そうとしないことが重要です。

    たとえば、
    次のような問いを自分に投げかけてみます。

    • 本当に解くべき問題は何か
    • 目の前の現象は原因なのか結果なのか
    • 誰が困っているのか
    • その問題が解決された状態とはどのような状態か
    • 前提として当たり前だと思っていることは何か

    こうした問いを通じて、
    問題を多面的に捉えることができます。

    問題設定は問題解決の半分である

    有名な言葉に、

    「問題を正しく定義できれば、
    問題は半分解決したようなものだ」

    という考え方があります。

    実際、
    多くの現場では、
    解決策そのものよりも、

    「何を問題として捉えるか」

    のほうが難しく、
    また重要です。

    良い問題設定は、
    関係者の認識を揃え、
    議論を建設的にし、
    より効果的な解決策へと導いてくれます。

    さいごに

    問題解決の質は、
    問題設定の質によって大きく左右されます。

    解決策を急ぐ前に、

    「私たちは本当に何を解決しようとしているのか」

    を問い直してみる。

    その一歩が、
    問題解決を前に進めるきっかけになるかもしれません。

    次回は、

    「問題の背景を整理すると打ち手が変わる」

    について考えてみたいと思います。


    この記事を書いた人

    村上 亮
    中小企業診断士・ITコーディネータ

    「問題を解く前に、前提を整える」をテーマに、
    製造業・DX・意思決定に関する情報を発信しています。

    VXtyleでは、そうした思考の整理を行っています。

    VXtyleホームページ

  • 忙しさを減らすにはどうすればよいか ー 業務ではなく「前提」を整えるという方法

    忙しさは減らせるのか

    これまで見てきたように、忙しさは

    • 業務量だけで決まるものではなく
    • 前提の積み重ねによって生まれ
    • 判断の詰まりとして現れる

    という構造を持っています。

    では、
    この忙しさは実際に減らすことができるのでしょうか。

    一般的な対策ではなぜ元に戻るのか

    忙しさへの対策としては、

    • 業務を削減する
    • 効率化する
    • 人を増やす

    といった方法がよく取られます。

    これらは一定の効果があります。

    しかし、多くの場合、
    しばらくすると再び忙しくなります。

    なぜでしょうか。

    それは、
    業務を生み出している前提が変わっていないからです。

    前提が残っている限り、
    新たな業務は再び生まれてしまいます。

    減らすべきは業務ではなく前提

    ここで改めて整理します。

    忙しさを減らすために本当に必要なのは、
    業務そのものを減らすことではなく、
    業務を生み出している前提を見直すことです。

    では、
    具体的にどのように進めればよいのでしょうか。

    ステップ1 業務を問い直す

    最初に行うのは、
    「この業務は本当に必要なのか」
    と問いかけることです。

    例えば、

    • なぜこの資料を作っているのか
    • この会議は何のためにあるのか
    • この確認作業は誰のためなのか

    といった問いです。

    ここでは、
    答えを出すことよりも、
    当たり前になっている業務に気づくことが重要です。

    ステップ2 前提を言葉にする

    次に、
    その業務を支えている前提を言葉にしてみます。

    例えば、

    • 上司への報告が必要だから
    • ミスを防ぐ必要があるから
    • 昔から続いているから

    といったものです。

    前提を言葉にすることで、
    これまで見えなかった判断基準が見えるようになります。

    ステップ3 前提を見直す

    前提が見えるようになったら、
    その前提は今も有効なのかを考えます。

    例えば、

    • 本当に毎週報告が必要なのか
    • 他の方法では代替できないか
    • 現在の状況に合っているのか

    を確認します。

    すると、

    • 残すべきもの
    • 見直すべきもの
    • やめてもよいもの

    が見えてきます。

    ステップ4 不要な前提を減らす

    最後に、
    不要な前提を減らしていきます。

    ここで重要なのは、
    無理に業務を削減しようとしないことです。

    前提がなくなれば、

    • 業務そのものが不要になる
    • 判断が速くなる
    • 確認作業が減る

    といった変化が自然に起こります。

    結果として、
    忙しさも少しずつ減っていきます。

    小さく始める

    この取り組みは、
    組織全体を一度に変える必要はありません。

    まずは、

    • 1つの資料
    • 1つの会議
    • 1つのルール

    から始めれば十分です。

    小さな見直しでも、
    積み重なることで大きな変化につながります。

    さいごに

    「忙しい」と感じたとき、
    業務をどう減らすかを考える前に、

    • なぜその業務が存在するのか
    • その前提は今も必要なのか

    を問い直してみる。

    それだけでも、
    仕事の見え方は大きく変わります。

    忙しさを減らす鍵は、
    仕事の中ではなく、
    その前にある「前提」にあるのかもしれません。


    この記事を書いた人

    村上 亮
    中小企業診断士・ITコーディネータ

    「問題を解く前に、前提を整える」をテーマに、
    製造業・DX・意思決定に関する情報を発信しています。

    VXtyleでは、そうした思考の整理を行っています。

    VXtyleホームページ

  • 忙しさが生む本当の問題とは何か ー 「考える時間」が失われるとき

    忙しいことは悪いことなのか

    「忙しいのは良いことだ」
    そう言われることがあります。

    確かに、
    仕事があること自体は悪いことではありません。

    しかし、
    忙しさが続くことで見えなくなるものがあります。

    それは、
    「立ち止まって考える時間」です。

    忙しさが奪うもの

    忙しい状態では、

    • 目の前の仕事を片付ける
    • 期限に間に合わせる
    • 問題に対処する

    ことが優先されます。

    その結果、

    • なぜこの仕事をしているのか
    • 本当に必要なのか
    • 他に方法はないのか

    といった問いを立てる余裕が失われます。

    前提を疑えなくなる

    考える時間がなくなると、
    業務を支えている前提が見えなくなります。

    • この資料は本当に必要なのか
    • この会議は意味があるのか
    • このルールは今も有効なのか

    本来なら見直されるべきものが、
    「当たり前」として残り続けます。

    改善が機能しなくなる

    前提を疑えない状態で改善を行うと、
    改善はどうしても表面的になります。

    例えば、

    • 手順を増やす
    • チェックを追加する
    • 管理を強化する

    といった対策です。

    一時的には効果があります。

    しかし前提が変わっていないため、
    同じ問題が繰り返されることがあります。

    DXが業務追加になる

    DXでも同じことが起きます。

    忙しい状態のままDXを進めると、
    業務の前提は変えずにツールだけを導入してしまいます。

    すると、

    • システム入力が増える
    • 管理項目が増える
    • 会議資料が増える

    といったことが起こります。

    本来は業務を楽にするはずのDXが、
    新たな業務を生み出してしまうのです。

    成果が出ない理由

    こうした状態が続くと、

    • 頑張っている
    • 動いている
    • 忙しく働いている

    にもかかわらず、
    思うような成果が出なくなります。

    問題は努力不足ではありません。

    考える時間が失われ、
    前提を見直す機会がなくなっていることです。

    忙しさの本質

    忙しさの本当の問題は、
    仕事が多いことではありません。

    「考える時間」が失われることです。

    考える時間が失われると、

    • 前提を疑えない
    • 改善が浅くなる
    • DXが形骸化する
    • 成果が出なくなる

    という流れが生まれます。

    さいごに

    「忙しい」と感じたとき、
    業務をこなすことだけに目を向けるのではなく、

    • 何を考える時間が失われているのか
    • どの前提が見直されていないのか

    を振り返ってみる。

    それが、
    忙しさによる見えない損失を防ぐ第一歩になるかもしれません。


    この記事を書いた人

    村上 亮
    中小企業診断士・ITコーディネータ

    「問題を解く前に、前提を整える」をテーマに、
    製造業・DX・意思決定に関する情報を発信しています。

    VXtyleでは、そうした思考の整理を行っています。

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  • なぜ改善しても改善しないのか ー 問題を解く前に、問題を疑ってみる

    改善しているのに成果が出ない

    製造業の現場では、日々さまざまな改善活動が行われています。

    不良低減、コスト削減、納期短縮、生産性向上。

    改善提案制度やQC活動、5S活動など、
    改善そのものに力を入れている会社も少なくありません。

    しかしその一方で、

    「改善しているはずなのに成果が出ない」
    「同じ問題が何度も繰り返される」
    「改善活動そのものが形骸化している」

    という声もよく耳にします。

    なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

    改善不足が原因なのか

    多くの場合、その理由は
    「改善が足りないから」
    ではありません。

    むしろ、
    改善する対象そのものがズレている
    ことがあります。

    例えば、
    不良率が高いという問題が発生したとします。

    そこで現場では、

    ・作業手順を見直す
    ・チェック項目を増やす
    ・教育を強化する

    といった改善策が実施されます。

    もちろん、これらは大切な活動です。

    しかし、そもそも
    「本当に現場作業が原因なのか」
    という問いは十分に行われているでしょうか。

    問題設定そのものを疑う

    実際には、

    ・設計条件
    ・材料選定
    ・生産計画
    ・顧客要求

    など、現場の外側に原因が存在することもあります。

    にもかかわらず、
    「不良=現場の問題」
    という前提で改善を進めると、
    いくら頑張っても成果は限定的になります。

    これは不良問題に限りません。

    納期遅延であれば、
    「現場が遅い」
    という前提で改善が始まることがあります。

    しかし実際には、

    ・頻繁な仕様変更
    ・無理な受注
    ・計画変更

    が原因かもしれません。

    つまり、
    改善活動そのものが悪いのではなく、
    改善の前提となる問題設定がズレている のです。

    問題設定が変わると対策も変わる

    改善活動というと、
    「どう解決するか」
    に意識が向きがちです。

    しかしその前に、
    「何が問題なのか」
    を見直す必要があります。

    私は製造業におけるシミュレーション活用や業務改善に携わる中で、
    問題解決よりも先に、
    問題設定が重要だと感じる場面を何度も見てきました。

    例えば、
    シミュレーション結果と実測結果が合わないという相談を受けることがあります。

    そのとき、多くの場合は
    「解析精度を上げたい」
    という話になります。

    そこで、
    メッシュを細かくする、
    計算条件を見直す、
    といった改善が検討されます。

    しかし、
    そもそもシミュレーションが対象としている現象と、
    実際に起きている現象が異なっていたらどうでしょうか。

    その場合、
    どれだけ計算精度を上げても、
    期待する結果には近づきません。

    これは現場改善にも似ています。

    改善策そのものが悪いのではなく、
    改善の対象としている問題がズレているのです。

    問題設定が変われば、
    見るべきデータも、
    議論すべき内容も、
    選ぶべき対策も変わります。

    さいごに

    改善が進まないとき、
    改善策を増やす前に、
    一度立ち止まって考えてみてください。

    「そもそも私たちは、何を問題だと思っているのだろうか。」

    その問いから始めることで、
    改善の質は大きく変わるかもしれません。

    しかし実際の現場では、
    問題を正しく設定したつもりでも、
    同じ不良やトラブルが繰り返されることがあります。

    次回は、
    「なぜ不良対策は繰り返されるのか」
    について考えてみたいと思います。


    この記事を書いた人

    村上 亮
    中小企業診断士・ITコーディネータ

    「問題を解く前に、前提を整える」をテーマに、
    製造業・DX・意思決定に関する情報を発信しています。

    VXtyleでは、そうした思考の整理を行っています。

    VXtyleホームページ