改善しているのに成果が出ない
製造業の現場では、日々さまざまな改善活動が行われています。
不良低減、コスト削減、納期短縮、生産性向上。
改善提案制度やQC活動、5S活動など、
改善そのものに力を入れている会社も少なくありません。
しかしその一方で、
「改善しているはずなのに成果が出ない」
「同じ問題が何度も繰り返される」
「改善活動そのものが形骸化している」
という声もよく耳にします。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
改善不足が原因なのか
多くの場合、その理由は
「改善が足りないから」
ではありません。
むしろ、
改善する対象そのものがズレている
ことがあります。
例えば、
不良率が高いという問題が発生したとします。
そこで現場では、
・作業手順を見直す
・チェック項目を増やす
・教育を強化する
といった改善策が実施されます。
もちろん、これらは大切な活動です。
しかし、そもそも
「本当に現場作業が原因なのか」
という問いは十分に行われているでしょうか。
問題設定そのものを疑う
実際には、
・設計条件
・材料選定
・生産計画
・顧客要求
など、現場の外側に原因が存在することもあります。
にもかかわらず、
「不良=現場の問題」
という前提で改善を進めると、
いくら頑張っても成果は限定的になります。
これは不良問題に限りません。
納期遅延であれば、
「現場が遅い」
という前提で改善が始まることがあります。
しかし実際には、
・頻繁な仕様変更
・無理な受注
・計画変更
が原因かもしれません。
つまり、
改善活動そのものが悪いのではなく、
改善の前提となる問題設定がズレている のです。
問題設定が変わると対策も変わる
改善活動というと、
「どう解決するか」
に意識が向きがちです。
しかしその前に、
「何が問題なのか」
を見直す必要があります。
私は製造業におけるシミュレーション活用や業務改善に携わる中で、
問題解決よりも先に、
問題設定が重要だと感じる場面を何度も見てきました。
例えば、
シミュレーション結果と実測結果が合わないという相談を受けることがあります。
そのとき、多くの場合は
「解析精度を上げたい」
という話になります。
そこで、
メッシュを細かくする、
計算条件を見直す、
といった改善が検討されます。
しかし、
そもそもシミュレーションが対象としている現象と、
実際に起きている現象が異なっていたらどうでしょうか。
その場合、
どれだけ計算精度を上げても、
期待する結果には近づきません。
これは現場改善にも似ています。
改善策そのものが悪いのではなく、
改善の対象としている問題がズレているのです。
問題設定が変われば、
見るべきデータも、
議論すべき内容も、
選ぶべき対策も変わります。
さいごに
改善が進まないとき、
改善策を増やす前に、
一度立ち止まって考えてみてください。
「そもそも私たちは、何を問題だと思っているのだろうか。」
その問いから始めることで、
改善の質は大きく変わるかもしれません。
しかし実際の現場では、
問題を正しく設定したつもりでも、
同じ不良やトラブルが繰り返されることがあります。
次回は、
「なぜ不良対策は繰り返されるのか」
について考えてみたいと思います。
この記事を書いた人
村上 亮
中小企業診断士・ITコーディネータ
「問題を解く前に、前提を整える」をテーマに、
製造業・DX・意思決定に関する情報を発信しています。
VXtyleでは、そうした思考の整理を行っています。