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  • 人の仕事はどう変わるのか ~AI時代の「人とAIの役割」を考える~

    「仕事がなくなる」の先を考える

    「AIによって仕事がなくなる。」

    生成AIが普及してから、
    何度も耳にしてきた言葉です。

    確かに、
    AIは驚くほどのスピードで文章を書き、
    画像を作り、
    プログラムを生成し、
    データを分析します。

    さらに最近では、
    一つひとつの作業を支援するだけでなく、
    目的を伝えることで複数の作業をまとめて進めることも
    できるようになってきました。

    その姿を見ると、

    「人間の仕事が奪われるのではないか。」

    と感じるのも無理はありません。

    実際、
    AIによって減っていく作業もあれば、
    役割が大きく変わる仕事もあるでしょう。

    しかし、
    「仕事がなくなるか、なくならないか」
    という二択だけで考えると、
    もっと大きな変化を見落としてしまいます。

    いま起きているのは、

    仕事の中で、
    人とAIが担う役割そのものの再設計

    なのではないでしょうか。

    「仕事」を分解して考える

    私たちは普段、
    「仕事」という言葉を一つのまとまりとして使っています。

    しかし、
    仕事を細かく見ていくと、
    実はいくつもの要素から成り立っています。

    例えば、企画書を作る仕事。

    その中には、

    • 情報を集める
    • 内容を整理する
    • アイデアを考える
    • 文章を書く
    • 図表を作る
    • 相手に伝わる構成を考える
    • 内容を評価する
    • 最終的な意思決定を行う

    といった様々な作業があります。

    以前のAIであれば、
    文章を書く、
    情報を整理するといった一部の作業を
    支援してもらうイメージが中心でした。

    しかし、
    AIが進化すると、
    その境界は少しずつ動いていきます。

    情報を集め、整理し、案をつくり、文章にまとめる。

    こうした複数の作業を、
    一連の流れとしてAIに任せられる場面も増えていくでしょう。

    だから、

    「この仕事はAI、この仕事は人間。」

    と仕事単位で分けるだけでは十分ではありません。

    仕事を分解し、
    それぞれを誰が担うのかを考える。

    その視点が重要になります。

    人間の役割は「上流」だけなのか

    AIによって作業時間が短くなれば、

    「人間はより上流の仕事を担うようになる。」

    とよく言われます。

    確かに、

    「どんな課題を解決すべきか。」
    「誰の困りごとに向き合うのか。」
    「何を目指すのか。」

    といった方向性を考える仕事は、
    ますます重要になるでしょう。

    しかし、
    AIの能力が広がれば、
    「上流は人間、下流はAI」と
    単純に分けることも難しくなります。

    AIは、課題の候補を出すこともできます。
    戦略案を考えることもできます。
    複数の選択肢を比較することもできます。

    つまり、
    これまで「上流」と呼ばれていた仕事にも、
    AIは入ってきます。

    では、
    人間には何が残るのでしょうか。

    私は、
    ここで問いそのものを変える必要があると思っています。

    「AIに何ができるか。」ではなく、
    「何をAIに任せ、何を人が担うのか。」

    です。

    仕事を「割り当てる」ことが仕事になる

    例えば、

    ある業務を改善するとします。

    これまでは、

    「どうすれば人が効率よく仕事をできるか。」

    を考えることが中心でした。

    しかし、これからは、

    「この業務はそもそも必要なのか。」
    「自動化できる部分はどこか。」
    「AIに任せられる部分はどこか。」
    「人が判断すべき部分はどこか。」
    「最後に誰が確認し、責任を持つのか。」

    まで考える必要があります。

    つまり、

    人が仕事をするだけでなく、
    仕事の仕組みそのものを設計する。

    そんな役割が重要になります。

    AIができることが増えるほど、

    「人が何をするか。」

    だけではなく、

    「人とAIをどう組み合わせるか。」

    を考える力が求められるのです。

    「できること」より「決めること」が価値になる

    これまでは、

    「何ができるか。」

    が評価される場面が多くありました。

    文章を書ける。
    分析できる。
    資料を作れる。
    プログラムを書ける。

    もちろん、
    こうした能力が不要になるわけではありません。

    しかし、
    AIが同じ作業を支援し、
    場合によっては代行できるようになると、

    「何をするのか。」
    「なぜそれをするのか。」
    「どこまでAIに任せるのか。」
    「AIの結果を採用するのか。」

    を決める力の重要性が高まります。

    だからこそ、
    AI時代に求められるのは、

    「AIを使える人」

    だけではありません。

    「AIを何のために、どこまで使うのかを判断できる人」

    なのです。

    人にしかできない仕事を探すのではなく

    ここで、
    一つ注意したいことがあります。

    「AIにはできないことを探そう。」

    という考え方です。

    AIは今後も進化していくでしょう。

    今は人にしかできないと思われていることでも、
    数年後にはAIが支援できるようになっているかもしれません。

    だから、

    「これはAIにはできないから、人間の仕事だ。」

    と境界線を固定してしまうと、
    その境界線はすぐに古くなります。

    それよりも大切なのは、

    AIの能力が変化しても、
    人とAIの役割をその都度見直せること

    です。

    AIと競争するのではなく、
    AIにすべてを任せるのでもなく、
    その時々の状況に応じて、
    最もよい役割分担を考える。

    そこに、
    人間の新しい役割が生まれていくのではないでしょうか。

    さいごに

    AIによって、
    なくなる作業はあるでしょう。
    大きく変わる仕事もあるでしょう。
    そして、新しく生まれる仕事もあるはずです。

    だから、
    「AIは仕事を奪うのか」という問いだけでは、
    この変化を十分に捉えることはできません。

    重要なのは、
    仕事を誰がするのかではなく、
    仕事をどう設計するのか。

    という視点です。

    何をAIに任せるのか。
    何を人が担うのか。
    どこで人が判断するのか。
    そして、その結果を誰が引き受けるのか。

    AIができることが増えるほど、
    こうした役割を考え、
    仕事そのものを設計することが
    重要になっていくのではないでしょうか。

    そして、
    人とAIの役割が変われば、

    「何を価値として評価するのか。」

    という基準も変わります。

    次回は、
    「なぜ価値判断の基準が変わるのか」をテーマに、
    AI時代に評価されるものがどのように変化していくのかを
    考えてみたいと思います。


    この記事を書いた人

    村上 亮
    中小企業診断士・ITコーディネータ

    「問題を解く前に、前提を整える」をテーマに、
    製造業・DX・意思決定に関する情報を発信しています。

    VXtyleでは、そうした思考の整理を行っています。

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